それでは2024年のドラマ視聴率ランキングです。
この年はひとつ、はっきりした区切りがありました。年間1位が11.3%。初めて12%を割りました。
2020年の半沢直樹が24.76%、2021年が16.4%、2022年が14.5%、2023年が14.3%。そこから一段落ちた形です。
ただ、2023年とは落ち方が違います。2023年は10%を超えたのが4本だけでしたが、2024年は7本あります。そのかわり、1位の11.3%と7位の10.3%の差がたったの1.0ポイント。上位7作が1ポイントの中にひしめいて、8位でいきなり8.7%まで落ちます。突き抜ける1本が消えて、団子になった年でした。
それでは民放の連続ドラマから。
10位 7.7%で川栄李奈主演のとなりのナースエイド。知念実希人さんの小説が原作で、看護師ではなく「看護助手」から大学病院を見るという切り口でした。川栄李奈さんはゴールデン帯の連ドラ初主演です。
9位 8.3%で神木隆之介主演の海に眠るダイヤモンド。長崎の端島、いわゆる軍艦島を舞台に、1950年代から現代までの70年を描いた群像劇です。野木亜紀子さんのオリジナルで、演出とプロデューサーはアンナチュラルの塚原あゆ子さん・新井順子さん。最終回は長崎市の協力で、端島の立入禁止区域での撮影が実現しました。 数字は9位ですが、この年のドラマ賞をいちばん集めたのはこの作品です(後述)。
8位 8.7%で井ノ原快彦主演の特捜9 シーズン7。
7位 10.3%で木村拓哉主演のBelieve ―君にかける橋―。テレビ朝日開局65周年の作品で、井上由美子さんのオリジナル。橋の設計者が殺人の罪を着せられる話でした。見逃し配信が累計2500万回を超え、テレビ朝日の木曜ドラマ枠で歴代最高を記録しています。
6位 10.7%で西島秀俊と芦田愛菜のさよならマエストロ。解散寸前の市民オーケストラを世界的指揮者が引き受ける、という大島里美さんのオリジナルでした。
5位 10.8%で水谷豊主演の相棒23・前期。
3位 11.1%で同じく相棒22・後期。最終回スペシャルの後編は12.8%まで上げています。
4位 10.8%で長谷川博己主演のアンチヒーロー。手段を選ばず無罪を勝ち取る弁護士の話で、オリジナルです。ビデオリサーチの2024年の総合視聴率ランキングでは、この最終回が単話の年間1位(世帯21.2%)でした。リアルタイムでも年間1位です。
2位 11.2%で岡田将生と中井貴一のザ・トラベルナース2。2022年の続編で、2024年10月クールのゴールデン帯では平均視聴率1位でした。
1位 11.3%で二宮和也主演のブラックペアン シーズン2。2018年版から6年ぶりの続編です。原作は海堂尊さんですが、シーズン1の『ブラックペアン』とは別の小説(『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』)が下敷きになっていて、二宮和也さんはシーズン1と瓜二つの別人という設定でした。最終回の12.0%がシーズン最高です。
11位 7.6% 海のはじまり
12位 7.5% Destiny
13位 7.4% グレイトギフト
14位 7.4% 不適切にもほどがある!
15位 7.3% 科捜研の女24
16位 7.3% 花咲舞が黙ってない
17位 6.7% ブルーモーメント
18位 6.6% スカイキャッスル
19位 6.6% 西園寺さんは家事をしない
20位 6.5% 新空港占拠
15位の科捜研の女は、この年がシリーズ25周年。1999年から続いています。
16位の花咲舞が黙ってないは池井戸潤さんの原作で、2014年・2015年に杏さん主演でやった作品の第3シリーズ。今田美桜さんでキャストを一新しました。日本テレビが新設した「土ドラ9」枠の第1作です。
18位のスカイキャッスルは韓国ドラマのリメイクで、全20話を9話に圧縮しています。
19位の西園寺さんは家事をしないは、ひうらさとるさんの漫画が原作。松本若菜さんのゴールデン帯連ドラ初主演でした。平均6.6%の19位ですが、この作品はその期のドラマアカデミー賞で最優秀作品賞を取っています。
局別では、テレビ朝日が9作、TBSが6作、日本テレビが3作、フジテレビが2作。テレビ東京は2年連続でゼロです。2023年と比べると、フジが3作から2作に減り、日テレが1作から3作に増えました。
TBSの日曜劇場は、4クールすべてがベスト9に入りました。1位ブラックペアン2、4位アンチヒーロー、6位さよならマエストロ、9位海に眠るダイヤモンド。2021年以来の完全制覇です。
NHKは、大河ドラマの光る君へが期間平均10.7%。吉高由里子さん主演、脚本は大石静さんで、紫式部の生涯を描きました。この数字は発表時点で大河の歴代ワースト2位でした。ただしNHKプラスの見逃し配信は全48回の平均37.9万UBで、こちらは歴代の大河で最高です。滋賀県大津市の大河ドラマ館には368日間で28万2256人が訪れ、当初目標の10万人を大きく超えました。
連続テレビ小説は、虎に翼が16.8%、おむすびが13.1%。虎に翼は日本初の女性弁護士のひとり三淵嘉子さんがモデルで、伊藤沙莉さん主演。NHKプラスの見逃し配信は平均44.9万UBで、こちらも朝ドラの歴代最高でした。一方のおむすびの13.1%は、連続テレビ小説の歴代最低です。
ここでも、去年と同じことが起きています。2024年にいちばん見られた連続ドラマは、やはり朝ドラでした。 虎に翼16.8%もおむすび13.1%も、民放1位のブラックペアン2の11.3%を上回っています。
視聴率の表と、賞と配信の表
2022年はsilent、2023年はブラッシュアップライフが「ランキングに入っていないのに最も話題になった作品」でした。2024年はどうだったか。
去年との違いから書きます。2023年は、TVerの四半期別再生数で1位になった4作のうち、視聴率ベスト20に入っていたのはVIVANTだけでした。2024年はこうです。
- 1〜3月期 不適切にもほどがある!(3342万回)→ 視聴率14位
- 4〜6月期 Destiny(2884万回)→ 視聴率12位
- 7〜9月期 海のはじまり(7148万回)→ 視聴率11位
- 10〜12月期 わたしの宝物(3458万回)→ 圏外
4作のうち3作がベスト20に入りました。去年の1作から増えています。ただし3作とも11位から14位、つまり下のほうです。配信で勝った作品が視聴率では真ん中に収まる、という形は変わっていません。
象徴的なのが不適切にもほどがあるです。略称の「ふてほど」が2024年の新語・流行語大賞で年間大賞を取り、Netflixの日本の週間ランキングでTBS作品として初めて3週連続1位になり、タイムシフト視聴率では単話の年間同率1位。それでいてリアルタイム視聴率では年間12位、平均7.4%で14位です。阿部サダヲさん主演、宮藤官九郎さんのオリジナルでした。
11位の海のはじまりは、silentと同じ生方美久さん脚本・村瀬健プロデューサー・風間太樹さん演出の組み合わせ。目黒蓮さんの月9初主演です。TVerの7〜9月期で7148万回を記録して2位の2倍以上を集め、第1話は配信開始から8日間で462万回。silentが持っていた443万回という記録を1年8か月ぶりに更新しました。
そしてベスト20に入っていない作品を2本。
アンメット ある脳外科医の日記は平均6.0%で圏外です。杉咲花さん主演、関西テレビ制作。見逃し配信は全話累計2220万再生でカンテレの連続ドラマ歴代1位。杉咲花さんがギャラクシー賞の個人賞を取り、作品は翌2025年の日本民間放送連盟賞でテレビドラマ番組の最優秀賞を受賞しました。
地面師たちはNetflixの作品なので、そもそもこの表には出てきません。せりふの「もうええでしょう」が流行語大賞のトップテンに入り、Netflixの「2024年下半期に見られた作品」で日本の作品の1位(1200万ビュー)でした。
9位の海に眠るダイヤモンドも書き添えておきます。この作品はその期のドラマアカデミー賞で5冠、ギャラクシー賞の奨励賞、そして翌2025年の東京ドラマアウォードで連続ドラマ部門グランプリを取りました。2024年のドラマ賞をいちばん集めたのは、視聴率9位・8.3%の作品だったということになります。
視聴率の表、配信の表、賞の表。2024年は、この3つがそれぞれ別の答えを出した年でした。
2023年のランキングはこちら / 2022年のランキングはこちら / 2021年のランキングはこちら
※ 平均視聴率はビデオリサーチ調べ・関東地区の世帯視聴率をもとにした集計値です。前期・後期の区分は放送期間による。配信の再生数と各賞の受賞はいずれも発表・報道による。年をまたいで受賞した賞はその旨を記しています。
