「平清盛」は2012年の大河ドラマです。
政治家として、また平安末期には稀な企業家精神を持つ人物として最近では評価が高くなっている平清盛ですが、ドラマにするにはなかなか難しい人物で、特に平家滅亡ではなくて、平清盛の一生をドラマ化したものは、この大河ドラマくらいだと思います。
ともかく、鎌倉で源頼朝(玉木宏)たちが平氏滅亡の知らせを受け取るところからドラマは始まります。
喜ぶ御家人たちを頼朝が「清盛がいなければ武士の世はこなかった」と叱責するところで、平清盛の偉大さを示そうというプロローグですね。
平家による盗賊「朧月」討伐のシーンのあと、平清盛(松山ケンイチ)の父親の平忠盛(中井貴一)と清盛の生母 舞子(吹石一恵)との出会いのシーンになります。
NHK大河ドラマなので、一応、史実に沿ってはいますが、このドラマでは平清盛は白川院(伊東四朗)の御落胤ということになっています。実際にそういう説も当時からあったのだそうですが。
白拍子の舞子は臨月で、宿していたのが平清盛、その本当の父親が白川院という設定ですね。
ちなみに史実は平清盛を生んだのは白川院に仕えた女房だったようで、祇園女御(松田聖子)か祇園女御付きの女房と言われています。
このドラマでは祇園女御が舞子の姉という設定のようで、のちに美濃の青墓で白拍子の乙前として暮らすことになっています。
清盛の正室の宗子(のちの池禅尼)(和久井映見)は、従兄弟が鳥羽法皇第一の寵臣・藤原家成と言われていて、宗子は高貴な藤原摂関家に連なる家がらの出と思われます。
このような権力中枢に近い女性を妻に迎えた平忠盛とは何者でしょうか?
じつは、白川院は自分の領地である肥前の神崎庄で密貿易をおこなっており、その密貿易を取り仕切っていたのが平忠盛でした。
当時の最高権力者である白川院が密貿易をするのは不思議な感じがしますが、要するに法令に反した行為をしていたということで、現代の政治家でも司直のやっかいになる人が多いことからも、わかるような気がします。
とりあえず話を進めると、高階基章の娘 明子(加藤あい)を妻に迎えた清盛は平重盛(窪田正孝)、平基盛(渡部豪太)の2人の子をもうけますが、明子とは死別します。
その後、順調に出世して肥後守に任ぜられた清盛は同じ桓武平氏で高棟王の子孫になる平時子(深田恭子)と再婚します。
ちなみに清盛は高望王系の桓武平氏ですね。
時子との間にできた子は、清盛の死後に平家の棟梁となる平宗盛(石黒英雄)、そして平知盛(小柳友)、平重衡(辻本祐樹)と高倉天皇の中宮になり安徳天皇を生んだ徳子(のちの建礼門院)(二階堂ふみ)になります。
安芸守となり平忠盛の死後に平家の棟梁となった清盛は保元、平治の乱を勝ち抜き、妻の時子が二条天皇(冨浦智嗣)の乳母をしていた関係もあって、二条天皇の実質的な後見人となり検非違使別当・中納言に任ぜられます。
その他の登場人物としては、清盛の後半生のライバルとなる後白河院(松田翔太)、策略好きで島流しにもなってしまう時子の実の弟の平時忠(森田剛)、平家随一の家人である平家貞(中村梅雀)、清盛の郎党で幼馴染の平盛国(上川隆也)、初回に出てくる盗賊の朧月の息子で盗賊の兎丸(加藤浩次)、平家の侍大将の伊藤忠清(藤本隆宏)、北面の武士から出家し歌人となった西行(藤木直人)など、そうそうたる男優陣が脇を固めます。
女優陣も、清盛の嫡男 重盛の妻 藤原経子(高橋愛)、源義朝の正室で頼朝の母の由良御前(田中麗奈)、頼朝の正室 北条政子(杏)、義朝の側室で清盛にも愛された源義経の母 常盤御前(武井咲)、頼朝の最初の妻の八重姫(福田沙紀)など多才な顔ぶれです。
これだけの名優達が一同に会するドラマは、NHK大河ドラマでしか見れないでしょうね。
物語は清盛の太政大臣就任と辞任、出家、そして福原の開発と厳島神社の造営、そして、「平氏にあらずんば人にあらず」という平家の全盛期になります。
ちなみに、これを言ったのは、あの策謀好きの問題児、平時忠です。
この頃から反平家の運動が活発になり、近衛基実の妻となった娘の盛子と嫡男 重盛の死により、あれほど巧みな政治手腕を発揮していた清盛も、強攻策を取るようになります。
治承3年にはクーデターを決行して後白河院に近い反平氏の公家達を一掃したものの清盛の後継者の宗盛は政治経験が未熟で、後白河法皇の第3皇子である以仁王の挙兵をきっかけに各地で反平氏の反乱が起こります。
平家一門は反平氏の寺社勢力に囲まれた京の都を捨てて福原に遷都しますが、富士川の戦いでの大敗や南都焼き討ちによる興福寺や東大寺の炎上など、事態は悪化の一途をたどり、清盛は失意のうちに九条河原口の平盛国の屋敷でなくなりました。
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