危険なビーナスは2020年の秋クールのTBS日曜劇場で放映された連続ドラマで、2020年秋ドラマ平均視聴率ランキングで2位を、2020年年間平均視聴率ランキングで14位を獲得しています。
ベストセラー作家の東野圭吾の同名小説が原作で主演は妻夫木聡がつとめています。彼が演じる手島伯朗は独身の獣医で動物病院で院長代理を務めています。
伯朗は、異母弟の矢神明人(染谷将太)の妻と名乗る矢神楓(吉高由里子)から明人が失踪しているので探すのを助けてほしいと頼まれます。矢神家は医療法人などを経営するセレブ一家で現当主の矢神康治(栗原英雄)は30億円の資産を持つといわれています。
伯朗の母の禎子(斉藤由貴)は夫の一清(R-指定(Creepy Nuts))がなくなったあと、矢神康治と結婚し伯朗を連れて矢神家に入り、明人を産みます。禎子は16年前に別宅の浴室で謎の自殺をとげています。
矢神康治は寝たきりでいつなくなるかわからない状態のため、矢神家の面々は康治の遺産の行方に興味深々です。特に康治の父親の康之介(栗田芳宏)が遺産は明人にすべて渡すという遺言を残しており、現在は康治が康之介の遺産を管理しているため、明人の生死は矢神家の面々の遺産の受取額に大きく影響してきます。
そもそも明人の妻を名乗る楓ですが、誰も明人から結婚の話を聞いておらず、遺産目当ての虚偽ではないかとみんなが疑っています。そんななかで伯朗は美人でチャーミングで機転の利く楓に惹かれていきます。
そんな楓にひそかに対抗心を燃やしているのが動物病院で伯朗のアシスタントをつとめる蔭山元美(中村アン)で楓のことを疑っています。
谷神家の家系は複雑で文字で読んでも理解しにくいのでTBSのサイトの家系図を掲載しておきます。
先代が康之介で、前妻の子が長男の康治(現当主)と長女の波恵(戸田恵子)で、波恵は矢神家の金庫番です。康治には再婚相手の禎子が産んだ明人しか子供がいません。禎子の妹が兼岩順子(坂井真紀)でその旦那が数学者の兼岩憲三(小日向文世)です。
康之介の後妻の子も二人いて次男の矢神牧雄(池内万作)と次女の支倉祥子(安蘭けい)、その旦那が介護施設グループを経営している支倉隆司(田口浩正)、その娘が支倉百合華(堀田真由)です。
さらに康之介の愛人で養子にしたのが矢神佐代(麻生祐未)、その子が都内に複数のダイニングレストランを経営している矢神勇磨(ディーン・フジオカ)ですが、佐代の子ということを隠して康之介の養子になっています。
子供時代の伯朗は勇磨にいじめられたこともあったようですが、勇磨は伯朗や楓に近づいてきます。
複雑な人間関係は文字で読んでもよくわからなくなると思うので、ここでは物語の理解を助けるために康治が死んだあとの遺産相続について解説しますね。
まず明人が生きていて矢神家に現れた場合、康之介の遺言により遺産が全額明人にいくかというとそうではなく、康之介の遺産の相続権のある実の子の波恵、支倉祥子、養子の佐代と勇磨には遺留分が支払われ、その残額を明人が得ることになります。実の子、養子ともに遺留分は同額になります。
明人が死んでいた場合、または失踪したまま7年を経過して死亡宣告された場合は4人の実子と養子に均等に分割されます。明人の妻の楓には康之介の遺産の相続権はありません。明人個人の遺産の相続権はもちろんありますが。
そこで遺産の取り分を増やすためには相続権のある人間が一人でも少なくなる方が有利なわけですが、当然、相続権のある人間を殺したことが裁判所で認められれば相続権は喪失します。
このあたりを理解できていないと、このドラマはわかりにくいかもしれません。また、数学的図形や人体実験の話まででてきて、そういう話が苦手な方にも難しい話かもしれませんね。
ただ経験豊富な名優がそろっているので、少しぐらいディテールがわからなくても良質なサスペンスとして十分、楽しめるようになっています。そこはTBS日曜劇場ですから。
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